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2021/05/06 17:28

2019年、ジュエリーブランドにリブランドをした
Curva y Ruri JEWELRYは6月で2周年を迎えます。

1周年を迎える前にコロナ禍となり、活動も未だこれからという段階ですが
まだまだ、多くの方に知っていただきたいし、手に取ってほしいと
貪欲な気持ちを日々奮い立たせています。

昨年春の新型コロナの自粛で、突然ぽっかりと空いた時間には
新しい企画やデザインをじっくり考える時間に充てました。
緊急事態が今も繰り返され、
新作を手に取っていただく機会も十分な状況ではありませんが
この1年、職人さん方にお力添えをいただき、
形にしていただいたジュエリーが今ようやく反応を得て、
動き出したような感覚があります。



思えば、アクセサリーブランドとして13年、
ジュエリーブランド (貴金属) にリブランドして2年。
企業に3年務めるのがやっとだった私が、今年7月には独立から15年。
よくやってきました。

私がデザインに興味を持った当時の記憶を遡って思い返してみると、
それは、大学への進路を考え出した頃でした。
「 環境デザイン 」という学科のキーワードが目に留まり、
漠然と、公園や遊園地など人が集まり楽しめる場所をつくりたいと
美大を目指し、空間演出デザイン学科に進学したことが始まりです。

美大でデザインを学んで行くうちに、
私には大きなものよりも、掌に収まる小さなものをイメージすることの方が
性に合っている、ということに気付き、
卒業後はジュエリーデザインに興味を持ち、販売職からスタート。
その後アクセサリー製造メーカーに就職をし、
アクセサリーの企画デザイン、サンプル製作に携わり、
製造に至るまでのノウハウを学びました。
メーカーを退職後、自社ブランドで展開をするアクセサリー会社に就職をし
雑貨店や大手アパレル企業向けのOEM事業やオリジナル商品の企画デザインを務めました。

企業でのデザイナー経験を合わせると20年の月日が経ちました。
今でもこの仕事に魅力を感じ、日々楽しいと思えるのは幸せなことだと改めて思います。




[ アンティークレース型取り石枠のルーツ ]

Curva y Ruri JEWELRYには欠かせない素材、アンティークレース。 
私は、アンティークやヴィンテージなど
受継がれた経年の変化や擦れた色合いを纏った、古い物が好きで、
自由が丘のアトリエや自宅もそういった家具やインテリアに囲まれています。





□自由が丘Salon 
ヨーロッパのアンティークやヴィンテージを中心とした
家具や照明などに囲まれたサロンスペース。
写真1枚目のカーテンの奥にアトリエスペースがあります。




□自宅 
家具の他、プランターの植物をアンティークのグラスに生けてみたり、
小さな愛着を生活に取り入れています。



ヴィンテージボタン、刺繍、ビーズ刺繍、織物・・・etc
ファッションも懐かしさを感じるエッセンスや
人の手の跡を感じる繕いを施されたデザインにも心惹かれます。




折り返した袖に特別な生地がさり気なく施されてあったり、
ブラウスの襟に刺繍がワンポイントあったり、
あくまで現代のファッションに足し算する様にさり気なく、
あえて異素材で組み合わせたりも好き。
それもこだわりで、そんな装いを好んでいます。



□20代の頃、海外の蚤の市や、国内のアンティーク市で見つけたアンティークジュエリー。
その頃、実は煌びやかな宝石が留められたジュエリーは疎遠だったけれど
アンティークは昔から好き。




そんなことから、蚤の市などで集めたパーツ達も時折、作品に活かしてきました。




□現在は左のデザインにリモデル。


製作毎にアンティークレースを象り製作をするpremierはその一つ。
まだジュエリーブランドへリブランドをする前からのコレクションです。
その頃、製作をお願いしていた職人さんに手掛けていただいたネックレスは
今のRuriのつくりのヒントになりました。(写真右)


長い時を経て受け継がれた素材の魅力が金属へカタチを変えることで、
違った表情や価値を纏って唯一無二のモノとなり、人々に受け継がれていく。
そのストーリーや素材の面白さにとても魅力を感じ、
アンティークレースの素材の可能性に興味を深めていきました。

リブランドする数年前までは、
石一つ一つに合わせて石枠を仕立てる作品づくりは手間やコストがかかり、
ブランドの価格帯のイメージに当てはまらなかったことや、
こうした一点物の手仕事を得意とし、
継続して製作を引き受けてくださるジュエリー職人さんとのご縁に恵まれず
その時は、アイデアを温存したままでいたのです。

ですから、今の職人さんとの出会いは
ブランドにとっても私自身にとっても大きな転機!
今の職人さんとの出会いがなければ
Ruriも今の私も全く別の形、道を歩んでいたかもしれない、
その位大切なご縁に恵まれたことを、感謝しています。






Curva y Ruri JEWELRYのジュエリーは
繊細なレースの柄、実物の生地の厚みにこだわって製作をしています。
デザインイメージに合わせて選んだレースに、
製作工程や、実用性に必要な強度を持たせるために、ほんの少しの厚みを施し、
職人さんに製作を引き継いでいます。

これらのレースは薄すぎて型が残せません。
だから、たとえ全く同じレースを原型に用いたとしても、
その時々の手の施しようにより、一つとして同じものになることはなく、
それも、この素材をジュエリーに落とし込むことの面白さだと感じています。

柄のニュアンスや、その時々の成り行きで出来た偶然性など、
素材の特徴を活かしたジュエリー製作への興味は尽きることなく、
今でも新しい作品をつくる度に、職人と共に更なる技術を追求し続けています。





最近は、石を組み合わせることによって生まれる新しい見え方、
デザインバランスの面白さにも魅了されています。
原石探しから携わり、ジュエリーをつくりこむことで
色彩を描くように、より深く世界観を表現出来るようになりました。





ジュエリーとして実用性を持たせつつ、イメージを形にするために、
信頼するジュエリー職人、宝石研磨職人の技術やアイデア、
センスをも借りて出来上がる作品たち。
デザイナー一人では完成には至りません。

こうした取り組みのおかげで私自身も客観的に作品を捉えることができ、
愛着もより一層感じることが出来ています。
だって、作品が届いたその日は気持ちが高揚して、
とても幸せな気持ちになりますから!






長い年月をかけて結晶化した原石とアンティークレース、
どちらも同様に経年変化による風合いの変化が生んだ自然美の産物です。
こうした素材に、伝統技法や人の手の跡を感じる繕いを施し、
ジュエリーとして仕立て、身に着ける。
このようにして生まれたものに囲まれて暮らすことに、私は心地よさと愛着を感じます。


「 愛着と暮らす 」 

とても共感した、最近ある方が綴っていたこの言葉。しっくりきました。
流行を基準にモノを選ぶのではなく、
愛着あるものに囲まれた生活は、自分らしくいられる心地の良い時間です。

私にとって、Curva y Ruri JEWELRYの作品づくりそのものが
「 愛着と暮らす 」 ということなのだと思いますし、
お気に入りのジュエリーを身に着け、
愛着ある素材を身の回りに置き、作品を考える時間も
自分が自分らしくいられる大切な時間なのだと思います。




息子が4年生になりました。
今はまだ子供との時間も大切にしながらの作品製作の日々ですが、
いつか海外出張ができれば
蚤の市にアンティークレースを、
そして海外のショーに石を仕入れにいきたい!と夢を抱きつつ、
3年目も愛着を身の回りに置き、
ご縁ある方の元に作品を届けていきたいと願っています。



Curva y Ruri JEWELRY 
デザイナー奥村麻衣子