企画展 ´ 描く ´ を奏でる
Curva y Ruri JEWELRY 1st Anniv.
2020年5月29日(金) 22:00 ~ 6月1日(月) 21:59
■製作Movie
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一ピースの美しい宝石が出来上がるまでに
いくつもの工程を経て出来上がる、宝石研磨。
その美しいカットの一面、一面も
研磨により生み出される色彩も、全て職人の手先の感覚で仕上がります。
- 繊細なインクルージョンが美しい、シルバールチルクォーツの原石 -
日々修行を重ね、積み重ねた技術に加えて、
職人の個性、感覚=センスが作品のイメージを左右する宝石研磨の手仕事は
色彩を描く絵画や立体オブジェをつくる彫刻の様に、アートの世界にも近いのではと
宝石研磨職人の大城かん奈さんの作品を見て思います。
■大城かん奈さんの手仕事はこちらからご覧ください。
- シルバールチルクォーツの六角形のローズカット -
一緒にモノづくりをする職人さんとは
それぞれの ´ 描く ´ を奏でる様に、作品イメージに一致するセンスはとても大事なものです。
自分もその作品に惚れ込んだファンであって、そのセンスを信じてお任せ出来るとか、
私はデザインが仕事なのでその技術に頼って、色(個性)を作品に活かしあえるのは
モノづくりにおいて理想で素敵なことだと思っています。
又、商品を気に入ってご愛用、ご依頼くださるお客さまとも同じ様に
そういう感覚があるなぁ、と。
Ruriの作品を信じて楽しみに待っていてくださる、
そんな幸せに包まれて私もモノづくりをさせていただいているなとありがたく思っています。
- ラピスラズリの原石のストック -
- ルースのイメージを伝えて見定めてもらったRuriのイメージストーン、ラピスラズリ -
先にお話しした様にいくつもの工程を経て出来上がる宝石は、
先ずその原石、料理で言う食材の様にその素材の魅力を見定めることからはじまります。
大城さんに選んでいただいた原石はそれだけでも十分魅力に溢れていますが
研磨の先にはどんな色や景色が現れるのか、想像を膨らませると一層にワクワクするのです。
- 原石肌を残して、研磨されたパイライトが散りばめられたラピスラズリ -
さて、企画展 ´ 描く ´ を奏でる では大城かん奈さんにご協力いただき、
ルースやオーダーのご紹介のみならず、
普段店頭では十分にお伝えすることが難しい宝石研磨の手仕事について
お話をする機会といたしました。
はじめてその様子を見る方には工具の一つ一つも新鮮で
実はとてもアナログな職人の所業であると驚くかもしれません。
選んだ原石はいくつかの機械を使って段階的に研磨を進めていきます。
小割切断機のソーイングブレード(ダイヤモンド砥粒の付いた刃)で切断し
グラインダーを使って、原石をおおまかに削っていきます。
魅力的なインクルージョンがあればその残す部分を見定めて。
平面研磨機を使ってカットを入れていきます。一つ一つ感覚が頼りです。
- 粗削り / 角砂糖の様で可愛い粗削り段階の水晶 -
鋳鉄の皿を回転させ、
その上に砂状のカーボランダム(紙やすりと同じ素材)に水を乗せながら、
指先の感覚を頼りにカットを切っていきます。
カーボランダムの硬度は凡そ9と非常に硬い為、
その硬度をカッターの様に利用した仕組みで原石を研磨しているのです。
- 中削り -
- 砂状のカーボランダム -
石の硬度やカットのイメージにより、砂を乗せる量や、石を当てる加減、石を傾ける角度など、
全ては手先が覚えた感覚を頼りに。
カーボランダムの番手をさらに細かいものに変え、
その番手を上手に使い分けながら
表面を滑らかに、イメージのカットへと仕上げていきます。
- 仕上げ磨り / フロストの状態も素敵 -
仕上げに、艶出しをします。
木砥(きど)と呼ばれるケヤキの木製の盤を使用し
水に溶いた青粉(酸化第二クロム)を適量つけながら、
今まで施したカット面と全く同じ角度に当て、一面一面を磨いていきます。
何度も繰り返し研磨して完成に近づけていきます。
- 艶出し / 完成 -
こうして、輝かしいカットが施された宝石が出来上がりました。
このシングルカットの水晶の研磨時間は凡そ~20分程だそうです。
カットが複雑になればその分、製作時間は長くなり
また時間を置いて、色彩のバランスやカットを見直したり。
1時間以上納得がいくまで手をかける作品もあります、と大城さん。
それはジュエリーのデザインも同じく、
一度良し、と決めたデザインでも、翌日になって練り直したり
又、上手く進まない時もあります。
作品づくりの中では時間では図れない
その見直しを繰り返し、上書きしてより納得のいく仕上がりを求めていきます。
宝石研磨は一通り覚えるのに最低でも10年の修行が必要と言われているそうです。
技術に加え経験と共に培ってきたセンスや、作品と向かい合う姿勢が何よりも
大城かん奈さんの独自の世界観をつくっているのだな、と改めて思いました。
こうして職人の手仕事を想像しながらお気に入りのジュエリーを身に着けてみると
それはファッションには留まらない、工芸品であると感じます。
Curva y Ruri JEWELRYでは、
宝石研磨職人、デザイナー、ジュエリー職人、それぞれの役割に置ける ´ 描く ´ を奏でて
作品をつくり、お客さまの元へお届けしています。
今日はいつもと違う視点でジュエリーを手に取ってみると、きっと愛着も深まるかもしれませんね。